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インドにて12(アシュラム編)

僕に質問があることが分かると、キラン・ババは手招きし、僕をババの隣に座らせた。


僕は拙い英語で一所懸命に祖父のことを話した。若い時に”南無阿弥陀仏”の大音声が勝手に出たこと。河での事故であったにもかかわらず、死期を知っていたかの様に遺言書が書かれてあったこと。遺体が非常に綺麗な状態であった事。


前回は書き忘れていたが、祖父が死に1週間程後、ハイラルの通りで祖母は途方に暮れて座り込んでいた。

幼い3人の子供を連れどうやって生きていけばいいのか?

その時空一面に祖父の涅槃の姿が浮かび上がった。これは祖母から何度も聞かされたエピソードだ。




この様な話をババに伝え、最後に僕は尋ねた。 ”祖父には何が起こったのですか?”


ババは少し考え、僕に言った。”何故、それを知りたいのか?”


僕は、少し恥ずかしかったが単刀直入に聞いた。 ”祖父が悟りを開いたかどうかが知りたいです。”


ババも周りの西洋人も僕の率直な質問にフッと、苦笑いした。


その後ババは暫く黙っていたが、不意に言った。 ”彼が尋ねている”


僕が怪訝な顔をするとババは言った。 ”意味が分かるかね?君のおじいさんが尋ねているんだよ”


つまり、生まれ変わりかと聞くと、恐らくそうだと答えた。


そしてババは続けた。 ”彼は悟ってはいないが、近づいた。 君は恐 く Last Life だろう”


最後の人生か! つまりこの牢獄の様にシンドイ地球の人生もこれで終わりか! ヨシ!!


その後も、僕や西洋人、一緒に行ったプラティカに向け、色々と話をしてくれた。


ババが少し席を立ったとき、西洋人の一人が ”今日は沢山話をしてくれている!” と嬉しそうに言った。



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キラン・ババの講和は再開されることはなく、その後ババと会う機会はなかったが、インドの旅の印象深い思い出として今も鮮明に覚えている。





 

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