特許図面業界の現状(1)
- kashiwagijunya
- 2016年10月27日
- 読了時間: 2分
僕が特許図面の業界に入って20年以上になります。
その前は測量会社でアルバイトしてましたが、道路台帳なんかの図面は描いてまし、大学時代は考古学をやってたので出土品を図面におこして調査資料を作ってましたから、図面自体はずーっと描いてることになります。
図面会社に入って特許図面を描き始めたころは、製図台を使ってトレッシングペーパーにインクで描いていました。
描き損じたら、カッターでカリカリと表面を削って、電動砂消しゴムで荒れた表面を均して・・・。
当時は弁理士の先生も下図をきっちり描く方が多かったので、図面屋は下図をインクで清書するトレースの仕事が多かったですね。フローチャートも枠だけインクで描いて、文字はワードで打ったものをシールにして、根気よく貼り付けてました。文字数の多い内外案件は出願枠に収めるのが大変でした。もうテトリスやっている感じで。
製図用インクを使う”ロットリング”という専用のペンで描くのですが、湿度によってインクの出かたが変化するので、綺麗な線を引くこと自体初心者には難しいものでした。
2、3年はトレペにインクでトレースする仕事をしていましたが、PCの普及で急速にCADやイラストレータといったソフトに乗り換えざるを得なくなりました。僕も独学でCADやイラレを習得して何とか時代の波に追いつきましたが、当時年配の図面屋さんの中には廃業に追い込まれた人もいるんじゃないかと想像します。
お客さんからいただく資料も紙に印刷されたものから、データに変化し、フローチャートやブロック図程度ならわざわざ図面屋に依頼しなくても特許担当者が簡単に作成できるようになりました。現在は単なる”トレーサー”では図面屋は食っていけません。作図能力、読図能力、テクニカルイラストレーションの知識が求めているのですが、残念ながら特許図面・意匠図面を教える専門学校はないんですよね。美大あたりでやってくれるといいんですけど。
特許図面を習得しようと思ったら、図面会社に入るか、特許事務所に入るかどちらかでしょう。ただし、そこに正しい知識を持った指導者がいればの話なのですが・・・。
特許図面という仕事自体、とてもニッチな分野ですし、専門学校もなく、指導できる人材も限られているとなると・・・
さて困った。。
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