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意匠図面の人材育成

このブログでも何度か取り上げている図面の人材育成についての話。

意匠出願に携わる弁理士の方々からは、なかなか国内の出願件数が伸びない・・・といった

話を聞くことがあります。メーカーの予算の関係等諸事情はあるかと思いますが、出願数が伸び悩む“原因の一つ”に意匠図面を描ける専門家が育っていないということが挙げられるのではないでしょうか?

私の場合もそうでしたが、そもそも特許・意匠図面を作成する仕事が存在するということさえ知らない人は多くいます。

偶然その存在を知ったとしても、知財関係の図面士を育てる専門学校があるわけでもなく、特許事務所に入って図面担当になるか、図面制作会社に入って技術を学ぶしか図面士になる術はないのですが、最近ではきちっとしたテクニカルイラストの知識を持ち、さらに知財関係の図面に精通した人は非常に少なくなっています。

ですから、運よく事務所の図面担当になるか図面会社に入れたとしても、特に意匠図面の指導を出来る人材が所内にいるかどうかは、かなり怪しいと考えております。

また、ある程度図面に適性がある人でも、一人前になるには特許で最低3年、意匠図面ですと5年は欲しいところです。最近では3Dデータを扱う必要もあり、写真意匠の場合カメラの知識も必要です。さらに、ある程度は意匠法や外国出願の際の図面の形式等も知っておいた方が良いとなると意匠図面のハードルは高くなってきます。

学生時から図面を学ぶ環境がなく、指導者も少なく、育つのに時間がかかるとなれば、この先益々図面士(特に意匠を描ける人材)が、減っていくことは容易に想像できます。

特許図面の場合は、ソフトの進化もあり、その道のプロでなくともある程度は作成することは可能ですが、意匠出願の場合、まず特許事務所側は、“意匠を描ける”図面士を確保することは必須です。

弁理士の方々も意匠図面士を確保できないと、意匠出願に関して積極的になれないかと思います。

「年に数件しか仕事来ないし・・図面の見方も良く分らないし・・取りあえず図面屋さんに丸投げしとこうか・・・」内心こう思っている方は多いのではないでしょうか?

日頃から特許図面しか描いていない図面士も同じように尻込みしますので・・・。

メーカー側にしても弁理士の先生方から「意匠にも力を入れましょう! 部分意匠や関連意匠の制度を利用して幅広く権利を保護しましょう! 」と“尻を叩いて”もらわないと、積極的になれないかと想像します。

意匠の出願数が少ないと、図面士が育つためのネタも減り、図面士はいつまでも育たず、図面士が育たないと特許事務所側も意匠に消極的になり・・・と悪循環に陥ってしまいます。

しかし、これが実情です。

では、どうするか?となりますが、まずは図面士を育てる環境が必要です。美大やデザイン系の専門学校に知財関係の図面の専攻を作る。国の技能検定で特許・意匠図面の検定を新たに導入する等。

現在テクニカルイラストレーション技能士の検定はありますが、特許・意匠図面となるとまた違った知識、センスが必要かと思っております。若い世代に特許・意匠図面という仕事が存在することを知ってもらい、興味をもって学ぼうとしてもらうには、私のような一個人事業主の力では限界がありますので、国にも是非対策していただきたいとところですね。

また、さらに重要なのは今の図面士の現状を特許事務所や弁理士の方々に知ってもらうことだと考えます。

まだまだ、「探せば図面屋くらいいくらでも見つかるだろう。募集かければ図面担当くらい見つかるだろう。」と考えている方は多くいらっしゃる様に思えます。

しかし、実際探してみると、なかなかいい人材は見つからないはずです。特許図面ですとまだ何とかなるでしょう。

しかし意匠図面となるとそうそう見つからないはずです。

なので特許事務所側は、ある程度時間をかけて所内でいい人材を育てることが必要かと思っております。

“年齢30才まで。特許・意匠図面経験者募集”では人は集まらないと考えた方がよいです。

若手で腕のいい経験者はまずいません。知財関係の図面を学べる学校等が現状無い以上は、事務所側で時間をかけて育てることが必要です。将来のための投資ですね。

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